授業を切りたくなる話

僕は自転車に乗るのが好きだ。

自転車に乗れるようになったのは(親の自転車が危ない、という教育方針もあったのだろうが)小学5年生ほどで遅い方だったと思う。しかし、乗れるようになってからは暇さえあれば自転車に乗っていた。

大学生の今ではお金があるわけではないので中古のクロスバイクをバイト代で購入した。(友人にもらったロードバイクはすぐに盗まれてしまった。)

普段自転車に乗るのは基本的に通学と買い物くらいでたまに遠出もするが忙しくあまりできていない。

 

この前もいつも通り大学へ行ったのだが、その日はとても天気が良かった。雲がほとんどない5月晴れの日であまり暑いわけでもなく気持ちが良かった。おそらく10分ほど工学部前の駐輪場でぼんやりとしていたと思う。なんとなく帰りたくなった。その日の授業は僕の嫌いな科目(というか教授がとても嫌い)だったので、逃げる、という言葉が頭の中で膨らんだ。思えば逃げることに対して肯定的な諺が多い気がする。逃げるが勝ち、逃げるは恥だが役に立つ、三十六計逃げるに如かずetc…。

結局そのまま授業に臨んだのだがあまり集中できなかったのを覚えている。逃げた方が得だったかもしれない。前人たちの知恵はやはり偉大だ。

昔、サラリーマンが急に蒸発する(理系的ではない昼ドラ的なドロドロした感じの方)という話を聞いた。真面目に働く中間管理職の疲れたおじさんがもしも急に消えたなら、浮気相手と逃げたのではなく、僕と同じようにただ、天気がとてもいいから、もう少し先の駅まで行ってみようかな、と考え、実行してしまったのかもしれない。

ふらっと消えたくなる時もある。

 

今はテストから逃げ出したい。