浪人の話

僕は受験勉強がとても好きだったため、高校を卒業して更に一年、受験生を続けた。もちろんできることならストレートで進学したかったのだが、第一志望である北大に受からなかったのでやむなく河合塾に行くことを決意した。

高校にこのことを伝えに行くと、後期で受かった大学に行けばいいじゃない、とのこと。僕の高校は偏差値60弱の俗に言う自称進学校だった。特進クラスですら僕の後期で受かった大学に落ちた人が多かったため、教師は進学を勧めたのだと思う。

しかし僕はもともと北大に行きたかった。(行きたい、と思っているだけで特に行動するわけでもないどうしようもないやつだったのだが。)そのため高校は通過点だと思い、友人に流されて変な高校に入ってしまったのだが、大学だけは自分で目標としているところに行く、と決めていた。

そんなわけで浪人したのだが、このような高校なので浪人した高校の友人はいなかった。そのため1人寂しく河合塾に通学していた。ただ救いだったのが、中学の友人が1人いたことである。しかし、彼は文系クラスで昼以外ぼぼ話せなかった。およそ6月くらいまでは彼とチューター以外と話した記憶はない。この頃気がついたのだが、人と喋らない時間が増えると独り言かかなり増えた。今では大学で話す相手はいるのだが、風呂等で1人でずっと喋っていることがある。おそらく癖になってしまった。

6月を過ぎると少しずつ友人が増え始めた。1人だった時はストレスで死にそうになっていたが友人が増えると減っていった。この頃には現役の間なかなか上がらなかった成績が爆発的に伸び始め、河合塾で勉強することが苦ではなくなってきたのを覚えている。

ただ秋を感じる頃になると少しずつ受験を意識するようになってきた。多分友人達もそうで、話の内容が大学や受験に関することが増えてき始めた。たまに受験のことを考えて眠れなくなったこともあるし授業を切ってどこかへ出かけようかと考えたこともあった。(授業を切るのは今でも考えるが。)

おそらく1人では本当に逃げていたと思うが友人がいたのでなんとかやれたのだと思う。センターの前日にはひたすらおしゃべりしてリラックスもできた。本番では予想以上に点が取れたのもこれのおかげかもしれない。

ただ、センターの結果が悪く友人達の半分ほどが志望校を変更することになった。そのうち、仲の良かった友人の1人に僕が二次試験対策で勉強していた時、

「あれだけ点を取ったのにまだ二次試験の勉強をしているのを見るとイライラする」

と言われてしまった。その時は二次試験の対策に追われ、精神的にキツかった時期でもあったので、とても辛かった。結局その友人とはその後話をしていない。通っている大学は友人を通じて聞いたが何をしているのか気になる。

もちろん良かったこともある。友人の1人が(あまりよくはないのだが志望校を下げて)北大を受験することを決めたのだ。最初から友人がいる、と言うのは心強かった。

 

このようにしてだいぶ端折りはしたのだが僕の浪人生活は終わった。ネットや北大生によく叩かれる北大ではあるのだが、受かったと報告した時多くの人からすごい、と褒められたことはとても嬉しかった。僕は北大がとても好きで(一部不満もあるが)誇りに思っているのであまり叩かないでほしい。

それと、河合塾に行ったのは全く無駄ではなかったと今でも思う。様々な科目(特に理数科目)を1年間勉強することで大学で学ぶことの基礎がかなり固まっと思うし、勉強法も確立することができた。もちろん大学にも受かったのでとても感謝している。