カンボジア放浪記 その3

つづき

アンコールトムの中は神と王の世界なので人々は普段入ることができない。ただ、満月の夜だけは別である。門の扉は開かれ、人々は神の世界に入ることを許される。

当時の人々はアンコールトムやアンコールワットの中ではお坊さんに頼んで聖水で清めてもらったりお祈りをしたそうで、現在でもその施設は見ることができる。

聖水は月の光が入る小部屋の中の四角い石に彫られた溝に水を流すことで得られる。日本では北枕を嫌がるように北を縁起が悪いとしているが、カンボジア(クメール)では北を縁起の良い方向としている。先述の四角い石はそれぞれの辺が東西南北を指しており、北側にのみ水が流れ落ちるようになっている。人々は北側に跪き、お経を唱えながら流れ落ちる聖水を頭にかけていたらしい。今ではただの苔の生えた石であるが、当時では金箔があしらわれていて、月光で光り輝いていたとのこと。またアンコールトムやアンコールワットも建築当時は漆喰や漆で彩られていたという。是非VRなどで再現してほしい。

少し歩くと象のテラスがある。三つの頭を持つ象が左右に二頭並び、その間に王が鎮座し、閲兵を行っていたようである。王は出兵時には必ずと言っていいほど天気雨を降らせた。刀を抜くと天気雨が降る、というのは凄い(というか嘘くさい)のだが実際に凄かったのは当時の占いの技術で、降る日時に合わせて出兵を行ったようである。今でもカンボジアの占いはよく当たるよ、とガイドさんは言っていた。ただ偽物も多いようである。見極めが必要らしい。

その後クメール料理を食べにレストランに行った。中華料理と日本食の中間のような味で美味しかった。特に揚げ春巻き的な料理が美味しかった。やはりクメール料理は日本人の好む味なのだろう。逆に韓国人はあまり好まないらしく、せっかくカンボジアに来ても韓国料理ばかり食べている、とガイドさんは笑っていた。