カンボジア放浪記その8

つづき

船に乗らない、と言ったらトゥクトゥクのオヤジは驚いたようだった。

「せっかくきたんだから乗っていきな」

と勧めてくる。多分乗るとマージンがもらえるのだろう。

船に乗る際にはしっかりとした英語ができないと困る、とかぼったくられる、という話を聞いていたため自分たちはNoといった。船に乗りにきたのではなく、トゥクトゥクに揺られながら湖を見たかったのだ。

拙い英語でオヤジにこれを伝えるとそれはできない、と言われた。なんでも船着場より先に道路はなく、土地も水上に住む人に統治されているらしい。だから湖を見るなら船に乗れ、と。

押し問答は続いたがオヤジはしょうがないなぁ、という顔をして湖のほとりに連れて行ってくれた。とても大きいだろ、といって手を大きく広げた。帰る前に写真を撮りな、と言った。これお金取られるやつかな、と思ったがなにも言われなかった。

トゥクトゥクに乗り込むと次は?と聞いてきた。他に行きたいのはオールドマーケット(市場)とマッサージ店、戦争博物館だ、というとじゃあオールドマーケットだ、と言われた。近くにマッサージ店もあるし食事もしてこい、とのこと。

来た道を進んでいるともう終わったのだろうか、学生たちがたくさん道を歩いていた。

オヤジに降ろされたのは昨日もきたパブストリートの前だった。場所はほぼ一緒だった。昼間のパブストリートは閑散としていて活気はない。そこから少し入ったところにあるオールドマーケットは反対にすごい活気があった。観光客相手のよくわからない土産物屋から生鮮食品まで売っていた。オールドマーケット全体が香辛料と生モノの匂いに支配されていて友人はすぐに気持ち悪くなった、と言っていた。自分はとても面白か感じ、フラフラと散策した。奥の方では買った食品で料理を作って食べている人も多くいた。少し興味はあったが流石に食べるのは断念した。

ホテルにプールがあったため水着を購入することにした。ついでに民族衣装的なものも買ってみよう、ということになって優しそうなおばさんの店に入った。

なにが欲しい?と聞かれたからコレとコレ、といった。するとおばさんはコレもある、こんなのもある、と沢山出してきた。その中から気に入った水着とズボン(タイパンツのカンボジアバージョンみたいなやつ)を購入した。日本でちゃんとした生地であれば2つで4000円くらいだろうか?まぁ生地がショボくはあったが…。値段を聞くと20ドル、と言ってきた。まぁ値切り前提の値段なのだろう。とりあえず半額の10ドル、というと日本語で

「赤字!赤字!」

と言ってきたので笑ってしまった。結局頑張って13ドルくらいで購入したのだが後から同じようなものを8ドル程度で手に入れた、という人の話を聞いて少しがっかりした。ただ非常に楽しい経験ができた、と思う。